DESIGN
2026·04·05
艶み、UI が決まるまで
スイスデザインは硬く、サロン業界は柔らかい
サロン向け予約・顧客管理システム 艶み の UI が、ようやく一つの方向に収束しました。
決まるまでの数か月は、スタジオ内で議論が割れていました。当初の合意は「Fordart の他プロダクトと同じスイスデザイン基調で」というものでした。けれども、初期プロトタイプを現場のサロンに当ててもらった時、返ってきた声が私たちの前提を揺らしました。
「素敵だけど、ちょっと冷たい」
美容業界の温度感
サロンの店舗を訪れると、空間そのものが柔らかいことに気づきます。照明の色温度、家具のラインの丸み、置かれている雑誌、香り。その柔らかさの中で働く人が、画面を開いた瞬間に出会う UI が硬質だと、作業の流れに「異物感」が混じってしまう。
私たちは、設計の出発点を見直しました。
検討した3方向
- A. スイスデザインを忠実に再現する Fordart の他プロダクトとの一貫性は最も高い。ただし「冷たい」が解決しない。
- B. 美容系 SaaS 風に振り切る 業界に馴染む。ただし他の競合と区別がつかなくなり、私たちが手がける意味が薄れる。
- C. スイスの規律を保ちつつ、表層の温度を上げる 難しいが、これしか答えはなさそうでした。
C を採用し、複数案を試行しながら、最終的にいくつかの調整に着地しました。
採用した3つの調整
- アクセントカラーを赤(#e8372c)から黄(#f2c94c)に 赤の鋭さを抑え、サロンの照明と相性の良い暖色寄りに。
- 角の半径を 0px から 8px に 構造線(罫線)はスイス的な直線のままに残し、入力フィールドやボタンだけ微かに丸める。
- 写真を抽象幾何から人物の手元・肌質感に モダンタイポグラフィの紙面に、手仕事のテクスチャを差し込む構成。
哲学的な結び
ここで私たちが学んだのは、スイスデザインは「規律のシステム」であって、「見た目のスタイル」ではない ということでした。
規律(グリッド・タイポ階層・余白・構造線)を保ったまま、表層を温めることは、本来のスイスデザインの使い方に背いていません。私たちは長い間、スタイルと規律を取り違えていただけでした。
艶みの UI は、その学びを内包したまま、これから磨かれていきます。
艶み → https://tsuyami.com